「ブナ」


写真は葛根田川上流の「ブナ」

「ブナ」

大地に力強く根を下ろすブナ、
その幹は太くて大きい、
その幹は天を支えているようだ、

ブナの木の下にいると、
大きな屋根の下にいるようだ、

腕がまわらぬほどのブナの大木、
抱きついてしてみる、
ほのかに青臭い生命の臭いがする、

原始的自然林のなか、
凛として立つブナの大木たち、

孤独に耐えて
森の生命を包み込むように生きてきたブナ

生命圈の象徴のように、
私には思えた、

ブナの大木のようにいきたいものだ、

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「エベレスト・最高の日没」


「写真はエベレスト」

「エベレスト・最高の日没」

赤銅色の山、
宝石の輝きをはっする山、
エベレスト、
輝きがおわると、
空は紺碧から、
深い紫紺に染まる、
そして、薄い暗闇に包まれる、

ひとすじの寒風が吹く、
音は無い、
そして本当の闇がおそってくる、
さあ駆け足で下山をしよう、

カーバイトの明かりの下で、
暖かいミルクティーと、
食べ物にありつこう、
そして少しだけ本を読もう、

肌にシンシンと染みこんでくる、
冷たさをはねとばし、
ぼくは坂を駆け下りる。

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「アンナプルナBCにて」


写真はアンナブルナI峰

「アンナプルナBCにて」

早朝少し前、
アンナプルナのベースキャンプにて、
サイトモレーンの絶壁に立つ、
空が紫紺色から薄い赤道色に変わり、
山頂に火がついたようにぽっと赤くなる、
そして、山が下方に向かってみるみる赤くなった、
静まりかえっていた大気は、
モロゲンロードとともに動き始め、
風をおこし、わずかな砂塵を巻き上げる、
大自然の中の一体感、
自然の雄大さを、
からだ全体で強く感じた日。

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「ガミ村」


写真は「ガミ村をローマンタンの方から望む」

「ガミ村」
深緑のオオムギの波立つ海原、
桃源郷のようなガミ村が見える、
ぼくは今、この街道の最大の峠にたつ、
標高四千五十メートル、
風が強い、
心を弾ませながら村へ、
氷河から流れ出る水が村々を潤す、
川沿いには無数のサクラソウが咲いていた、
アンズの巨木、リンゴの木がある、
旧王族の居間に泊めていただくことになった、
スーチャが美味い、
子供を呼ぶ声、
しかりつける声、
静かな時間が流れる、
なんとのどかな時間なのだ、
忘れていた感覚、
まいにち何かにせかされていた自分、
このままこの地にとどまっていたいという、
思いがこみ上げる、
夕闇が迫り家々に明かりがともる、
翌朝、チャパティとスーチャで軽く腹ごしらえをし、
ローマンタンに向かう、
マニ石の壁をなぞりながら振り返ると、
砂漠のような山並みの谷にくっきりと緑が浮き上がっていた。

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「ローマンタン」


写真は「ローマンタンの入り口のゲート」

「ローマンタン」

ネパールの奥地の、ローマンタン、
巨大な門を過ぎ、
小高い丘の峠にでる、
視界がいっせいに開ける、
遙か前方にチベットの国境が見える、
ガミ、ツァーランと長い道のりだった、
とうとうきたか、
感動が胸を締め付ける、
峠の風は強い、
タルチョが風にはためく、
マニ石の陰に隠れて、
しばし休息する、

七月だというのに、
風は身を切るように冷たい、
これからが旧王国、
どんな出会いが待っているだろうか、
思えば胸躍る、
かわぐちえいかい和尚も歩いた道、
求道の道、
ロバを引き、

あせる思いを抑えながら、
ゆっくり坂を下りた。

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「カラパタール」

「カラパタール」

カラパタールの中腹、
五千四百メートルで、
スケッチを描く、
息を殺して線を引くと、
目の前が少しだけ、
暗くなる、
すうっと気が遠くなる、

線が太くなる、
線が乱れる、
手が凍える、
少し休む、
深呼吸をする、

気をとりなおして、
ふたたびペンを持つ、
気がつくと、
もう日没だ、
さあ、山頂に向かおう、
エベレストの夕景を見るために、
一人、山頂にたたずみ、
暮れゆくエベレストを見る、
静まりかえった夕暮れに、

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「ヒマラヤではねぇ」


「ヒマラヤではねぇ」

ヒマラヤではねぇ、
星はジャガジャガと輝くんだよ、
河はグルングルン流れるんだよ、
風はサワサワとそよぐんだよ、

夜、満点の星を眺め、
一人こっそりつぶやいてみる、
ジャガジャガ、ジャガジャガ、
あたりは静まりかえり、
遠くで谷川の声が聞こえる、

ねぇ、
星はジャガジャガ輝くんだよ、
河はグルングルン流れるんだよ、
風はそよぐんだよ、
サワサワと、

ここは満点の星の下、
ヒマラヤのシャンボチェの丘、
冷たい夜の風が頬に口づけをする12月、
エベレストを遠くにいただき、
アマダブラムのヒマラヤ襞が、
月の光で輝く、

あのねぇ、
ヒマラヤではねぇ・・・・・。

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